ハンディキャップ・プログラマ〜理学療法と言う名の○イザップ〜

担当の理学療法士であるU氏、彼との出会いは、今回の一連の騒動で、尤も運命的だった出会いと言わざるを得ない。

 

麻痺を患ったことで多くのリハビリ技師と接したが、彼ら・彼女らからは業界は違えど、プロのエンジニアとしての姿勢やプライドを感じるシーンが多々あった。広義の意味でのエンジニア臭を放つ人が多い中、若いながらも、確固たる技術と言葉の端々から漏れ出る高いプロ意識に裏打ちされたやや年齢不相応な自信、そしてその自信からくる若干鼻につく言動、自分の若い頃を連想させる彼に親近感を感じずにいられなかった。

 

彼のリハビリを受けだして2週間もたった頃だろうか、彼が休みの日に担当してくれる他の技師に身に覚えのない同情をされている自分がいた。曰く、U氏のリハビリ厳しくて大変でしょう、というのである。リハビリをうけること自体初めての自分は、比較する対象もなく、ただひたすら日々、黙々と促されるメニューをこなしていたのだが、どうやら、かなりきついメニューだったようだ。動かなくなった体を動かすのであるこんなものだろと勝手に納得していたが、違ったらしい。彼に真偽の程を確認すると、さも当たり前というくちぶりで「若いんだから厳しくしてしっかり回復しないと困るでしょう」とのたまうのである。なんとも生意気なやつである。

 

しかし、そんな彼は持ち前のプロ意識から、いつしか病院側とこちらの橋渡し的な役割を果たした事と、丁寧なインフォームドコンセントに沿ったリハビリで、全幅の信頼を自分から勝ち取っていった。こ、こころを完全に許したわけじゃないんだからねっ!///

 

そんなドSの彼のもとに足繁く通う日々は続く。左半身麻痺という絶望的な状態から、自由に歩ける体にしてくれた彼には、感謝の言葉もない。入院中滅入らずにいられたのは、彼が話し相手になってくれたのも大きいだろう。リハビリが落ち着いたら、一緒に一杯と勝手に心に決めている自分なのである。