ハンディキャップ・プログラマ〜守られたもう1つの武器〜

通院によるリハビリに切り替える際、回復見合いで終了とさせたリハビリがある。

言語療法がそれである。退院も近くなった頃「電話で話をして、問題なく会話できれば終了にしましょう。」と、担当のS氏と話をし、無事クリアしたからである。

 

言語療法では、主に顔面麻痺からくる会話に関する障害や、脳に外から見て分からない障害が残っていないかの検査を繰り返した。前者に関してはもともとベシャリに自信があった人間で、しゃべるのが好きなので、あれこれ雑談を繰り返すうちに回復した気がする。もっとも、しゃべりにくくはなったので、必殺マシンガントークはできなくなってしまったが、S氏に「話し方が丁寧になって、優しくなった印象がでるかもしれませんね」と言われ、もともと話し方がきつかった自分にとっては、そう害はないかなと思っている。

 

後者に付いては、左側の注意力が落ちているという障害がのこってしまったが、まぁ、自覚して注意すれば大丈夫でしょうというレベルだったので、それほど深刻には受け取っていない(チェックすることへのエネルギーの使い方の変更には四苦八苦しているが)。

 

さて、さり気なく紹介したS氏だが先日紹介したU氏と個人的に仲がいいらしく、リハビリという雑談のなかで、よくU氏の個人情報がだだもれになり、こちらが対処に苦慮した記憶がある。もっとも、雑談の中で知り得た自分の個人情報もU氏にだだもれだったようだが。

 

一見、いわゆるチャラ男風の彼、人の良さそうな笑顔と共に何気ない会話から相手の懐に入り込む手腕にはその片鱗が見え隠れするのだが、やはり言葉の端々に高いプロ意識と勤勉さを感じさせるのである。なかなか侮れない。何より、顔面が麻痺し、何を話しているのかよくわからないのを、本人があまり意識できていない中、自慢のベシャリを駆使出来るところまで回復させてくれた彼にもやはり感謝の言葉がないのである。