ハンディキャップ・プログラマ 〜人生の選択〜

さて、いきなり復職を前提とした話に飛んでしまったが、復職に舵を切ったのにはキッカケがあった。

 

自分が119番によって運びこまれた病院は急性期病院だった。子供の頃から大病慣れしており入院も何度もしている自分だが、初めて聞く言葉だった。なんでも脳卒中と麻痺はそれぞれ別の病として扱われるらしく、急性期病院は脳卒中が重篤な時期を超えたら2ヶ月以内に出ていかなければいけないらしい。一般的には、ここから回復期リハビリテーション病院に転院し、(※)180日間入院してのリハビリに勤しむとのことで、自分も当然そちらに転院するかのような方針で進められていた。

 

リハビリ開始当初から完全に麻痺した左手を目の前に「タッチタイプ出来るまで回復させてください」と、当然のように言って、作業療法士を苦笑させるような自分である。併せてまだ40歳手前(先が長い)ということもあり、病院側としては身体機能の回復に重きをおくべきだ、と考えたようだ。

 

だが、自分の人生の使い方として、ここからあと半年休職して、リハビリにのみ専念するという選択肢は全く考えなかった。妻は妻で、リハビリ以外はご飯を食べて寝転がっているような生活を続ければ、仕事人間である自分の心が死ぬと思っていたようだ。加えて、仕事で忙しい妻に、自宅と病院の往復と言う負荷をかけたくなかった。だがもちろんリハビリしないわけにもいかない。

出した結論は、平日毎日午前はリハビリで通院し、午後からは在宅で復職という道だった。

そんな生活を始めて3週間だが、なかなかのハードワークである。慣れるまでにはしばらくかかりそうだ。

 

※フォローしておくと、入院させるのは転倒防止の意味もあるようだ。手足とも麻痺している為、転倒しやすい上に転倒しても受け身を取れないと言うリスクがある。リハビリである程度回復してから退院させたいという医療側の気持ちも分からないではない。